2.今後の取組み 

LANMCE(株)は、これまでは主に「1 リスク管理(金融規制対応チーム)」を経験してきました。 これに加え今後は、「2 フロント・ミドルを兼ね備えた自社パッケージの開発」および「3 金融規制・ 市場命令管理専門(金融「命令」対応チーム)」、「4「AI」、「XAI」運用の普及とその挑戦」にも取り組 むことを思い描いています。以下に1,2,3,4それぞれに対して、取り組みたいと考えた経緯とそれを実 現するためにクリアすべき当面の課題について後述します。

1 リスク管理専門(金融「規制」対応チーム)

Regtech(レグテック):規制とテクノロジーの融合 に取り組みます。

BASEL 規制は、時勢を受けて段階的に改正されてきており、その流れは今後も継続されると予想され ます。これはつまり、「規制の変更に伴う理論の構築やモデルの開発の必要性が継続的に発生する」とい うことです。従って、これらの金融規制に対応するためのチームは時勢を問わず、継続的に必要となる と考えられます。

実際にチームを作るためには、豊富な業務知見・コーディング技術・数学的知識が必要となるが、現 時点で LANMCE(株)がもつこれらの知識・技術はまだ不足しています。そのためまずは,多くの金融機関にて経験を積むことにより、これらの知識および技術を習得し、十分なレベルまで引き上げていく ことが当面の課題であると考えています

2 金融規制・市場命令管理専門(金融「命令」対応チーム)

MiFIDIIの Diretech(ディレテック):金融市場命令とテクノロジーの融合に取り組みます。 ※「Diretech(ディレテック)」とは、三道の造語であり、一般的な用語ではない。

MiFIDIIの項目のうち、LANMCE(株)が、システムへの影響が大きいと考える項目として、「アン バンドリング(分離明確化)の義務付け」、「ダークプールの制限」、「サーキットブレーカー装備の義務 付け」が挙げられます。これらの項目の実施により起きると予想される事象に対する提案として、 LANMCE(株)は、「ロボ・アドバイザ」、「不正検出」、「ロボ・トレーダ」を挙げます。これらの対応 は、大量のデータを入力として、何かしらのルール化を行うという点で AI(Artificial Intelligence、AI: 人工知能)との親和性が高いと考えられます。金融システムへの AI 技術の融合は、日本ではまだ少なく、 『オリジナリティ』の部分で切り込んでいく余地が多いにあると考えます。

3 フロント・ミドルを兼ね備えた自社パッケージの開発

上記1および2で得られる知見を基に、自社パッケージ製品の開発に取り組みます。
自社パッケージ製品の開発を行うに当たって、考えるべきポイントとして、「オリジナリティ」・「ライ センス」・「リソース」の3点が挙げられます。

4 「AI」、「XAI」運用の普及とその挑戦

一般的に AI(と XAI)運用には、『Big Data』と『それを分析するアルゴリズム』、『データ処理を 行うスーパーコンピューター、などのインフラ』の3つが必要とされています。

その中でもデータ(Big Data)については、各運用会社間の争奪戦が激化しています。 我々の挑戦は、(内部ロジックの変更)などの「理論的なアプローチ」である『アルゴリズム』開発です。ハードウェアを増設する等の「物理的なアプローチ」に関しては、優先度は低いと言えます。

※ちなみに、人工知能とは辞書によると、「計算」という概念と「コンピュータ」という道具を用い て「知能」を研究する計算機科学の一分野」を指す語とされています。

1) オリジナリティ

パッケージを開発するにあたって、どこにオリジナリティをもたせるかが重要です。オリジナリティについては LANMCE(株)としてもアイデアはいくつかありますが、それを実現するためには、豊 富な業務知識・数学知識・モデル開発知識が必要となります。これらを得るためには多くの金融機関 にて経験を積むことにより、これらの知識および技術を習得することが当面の課題であると考えます。

2) パテント(特許)
パテントに関する LANMCE(株)の考え方は下記のとおりです。

    • 技術の進歩を妨げることは避けたいという考え方のもと、パテントをとることは必須ではないが、 その一方で利益を元にした悪用が考えられるため他には渡したくはない。
    • オリジナリティにあたる部分のライブラリの部分は保護したいという考えのもと、LANMCE (株)、およびお客様で該当ライブラリのパテントを保持したい。
    • パッケージ開発を行う中で、新しい理論が生まれた際には、LANMCE(株)では論文等で発表 することにより、積極的に外に発信したいと考えている。また、それと同時に「新しい理論」に 関するパテントも取得したい。なお、パテントを取得するに当たって、どの範囲をお客様と LANMCE(株)のどちらの名義で(あ るいは、共同で)出願するかについてはその都度検討するものとしたいと考えています。

3) リソース

パッケージの開発を始めることになった際、考えるべきこととして、リソース(「人材(従業員)」、 「もの(設備など)」、「金(資本)」、「情報」、「時間」)の5点が挙げられます。

a) 人材(従業員)
業務知識・計算知識・モデル開発の知識に長けた人材を確保する必要があります。 人材を確保する考え方として下記の2通りがあります。

・「業務提携し、該当する人材を採用する」
・「既存の会社を買収する」

※ 必要な人材として、
I.「理論(数式)のところでオリジナリティを生み出せる人」
II.「数式を実装(コーディング)できる人」
の 2 通りの人材が必要になります。我々は特に、前者の人材の確保をどのように行うかという点 を気にしています。後者のコーディングについては、LANMCE(株)で実施する用意を進めています。

b) もの(設備など)
システムの構築を考えたとき、サーバ・ネットワーク・ソフトウェアなどの設備を自社で導入・運用する「オンプレミス型」にするのか、インターネット上に仮想のサーバを置く「クラウド型」 にするのかを考える必要があります。それぞれのメリット・デメリットは下記のとおりです。

内容

オンプレミス

クラウド

コスト

サーバやソフトウェアライセンス、ネ ットワーク機器の購入など初期費用 が高額。

初期コストを抑えることが 可能。

構築に要する期間

構築までに時間がかかる

スピーディに環境を構築で きる

障害対応

自社で障害に対応する必要がある

障害があってもクラウド事 業者に対応を任せられる

カスタマイズ

自前で構築するため、要望にあわせて 自由にカスタマイズ可能

c) 金(資本)
上記の a,b も含むパッケージ開発に必要な財源をどこから確保するかということを考える必要があります。お金を確保する方法のひとつとして助成金への応募が考えられます。

d) 情報 パッケージ製品の開発を行うためには、技術やノウハウが必要です。シンクタンク等のパッケージをもっている金融機関でのプロジェクトに参画することにより、それらの技術やノウハウを習得 することが望ましいと考えます。

e) 時間 金融機関でのプロジェクトに参画することにより習得した知識をもとに開発を行うことにより,パッケージの開発に要する時間が予測できるようになると考えられます。

上記のことから、自社パッケージ製品の開発に関わる当面の課題は、「オリジナリティを考えるに当た って、必要な業務知識・数学知識・モデル開発知識を得るために多くの金融機関にて経験を積むことに より、これらの知識および技術を習得すること」であると言えます。また、オリジナリティを提案した 後、パッケージの開発を始めるにあたっても、開発に必要なリソースである「人材(従業員)」・「もの(設 備など)」・「金(資本)」・「情報」・「時間」をどのようにして確保するのかという山積した問題をクリア して行かなければなりません。

さらに、パッケージの売り込み先についても考えておく必要があります。メガバンクは傘下にシンク タンクがあり独自のパッケージを使用(※一部は保持していない可能性がある)しているため、新たな システムを売り込むには敷居が高いと考えられるため、メガバンクより低いポートフォリオを保持して いる地銀が現段階では候補として挙げられます。もしくは、ヘッジファンドも対象となると考えられます。
以上